大人の発達障害とは?生きづらさを抱え続けている方へ

子供の問題として語られることも多かった発達障害ですが、近年は「大人の問題」として捉えられるケースも増えてきました。他人には説明できない生きづらさの原因が、実は発達障害にあった……。など子供の頃から抱えていた違和感の正体に、大人になってから気付く方も、決して少なくありません。

とはいえ、まだまだ発達障害についてよく知らない!という方も多いのではないでしょうか。大人の発達障害について、基本的な情報をまとめて紹介していきます。

大人の発達障害とは

発達障害とは、生まれつきの脳の機能不全が原因で、日常生活にさまざまな困難が生じてしまうことを言います。得意なことと不得意なことの差が激しかったり、人とのコミュニケーションに難を抱えていたりすることで、周囲から理解されにくく、生きづらさを抱えてしまうこともあります。

発達障害には、大きく分けて3つの種類が存在しています。

  • 広汎性発達障害(PDD)
  • 注意欠陥・多動性障害(ADHD)
  • 学習障害(LD)

一言で発達障害と言っても、どの種類に当てはまるのかによって、得意なこと・不得意なことが違ってきます。

現代においては、発達障害に関する知識もある程度広まっており、障害を抱える子供に対する支援も充実してきています。

しかし、少し前までは、「少し変わった子」「やる気のない子」「勉強ができない子」といった言葉で片付けられ、何のサポートもなくそのまま成長していくケースも少なくありませんでした。本人さえも、生活がうまくいかない理由がわからないまま大人になってしまうことで、社会人としての生活を送ることが困難になってしまうこともあります。

発達障害は本人のそれぞれの能力の発達の度合いによって、それぞれで症状が変わってくるもの。また障害の度合いや周囲の環境によっては、「自分自身の凸凹を理解し、受け入れた上で、なんとかうまくやっていくことができる」という方がいるのも事実です。

子供の発達障害と比較すると、大人の発達障害は診断が難しいと言われています。また、発達障害が原因で、うつ病や精神疾患など二次障害を発症する方も多くいます。この場合、表面化している精神疾患の方にばかり注目され、発達障害という根本的な原因が解決されない可能性もあります。

特徴、症状、チェックリスト

子供時代には、周囲には多くの大人がいて、その発達段階を注意深く見守ってくれています。しかし、大人になると、そういうわけにはいきません。もしも今生きづらさを感じていて、「もしかして……」と思うことがあれば、自分自身で行動を起こす必要があります。

大人の発達障害が疑われる特徴や症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 「空気が読めない」と言われることが多く、親しい友人がいない
  • その場にふさわしい服装や言葉遣いを判断できず、TPOに合わせて行動するのが苦手
  • 何度言われても、うっかりミスが直らない
  • 部屋や持ち物の片付けができない
  • 人の話をうまく理解できず、またすぐに忘れてしまうことがある
  • 努力をしているにも関わらず、なかなか仕事が覚えられない

大人の発達障害により、どんな側面に問題が生じるのかには、個人差があります。いくつ当てはまるのかではなく、当てはまるポイントによって、どの程度困っているのかを重視すると良いでしょう。

たった一つでもものすごく困っていることがあれば、発達障害を疑い、具体的な行動を起こしてみるのがオススメです。

発達障害の人の接し方

大人の発達障害を抱える人の中には、人間関係がうまくいかないことで悩む人も多いものです。なぜなら発達障害の人の中には、相手の気持ちにまで思い至らなかったり、相手を傷つける言葉をストレートに伝えてしまったりするケースも多いからです。

また「人の話を聞く」ということが難しい場合にも、円滑なコミュニケーションは難しくなってしまいます。自分自身のコミュニケーションや、周囲の人のコミュニケーションに不安を感じたときにも、やはり発達障害を疑ってみると良いでしょう。

治療法、対策、治療、仕事などで気を付けることなどについて

大人の発達障害が疑われる場合には、まずは自分自身の状況を知り、困難を少なくするための努力が必要となります、病院での治療も視野に入れたいところですが、残念ながら今のところ、発達障害を根本から解決できる治療法は発見されていません。

とはいえ、病院へ行って診断を受けるということに意味がないわけではありません。病院で専門医の診察を受け、検査を受けることで自分自身の発達状態を細かく客観的に知ることができます。自分の得意・不得意を具体的に知ることで、フォローの方法も見えてくるでしょう。

また、大人の発達障害を専門的に扱うクリニックなどでは、カウンセリングで困難を少なくするためのアドバイスを受けたり、トレーニングを積んだりすることもできます。どうすれば生きづらさを解消できるのか、環境調整の方法について、専門家からのアドバイスを受けることもできるでしょう。

「どうすればより快適な生活を送ることができるのか」という、前向きなアイデアを得ることができます。

まとめ

大人の発達障害は、個性の一つと表現されることもあります。確かに何らかの障害を抱えていても、環境にマッチして上手く生活していく方も少なくありません。

しかし、一方で発達障害が原因で生きづらさを抱えている方が多いのも事実です。発達障害であってもなくても、まずは自分自身の特性を知り、必要な対策をとるということが重要なポイントなのかもしれませんね。

参考サイト

参考文献

  • 小野和哉(2017)『最新図解 大人の発達障害サポートブック』株式会社ナツメ社