現代の子供たちの中には、アレルギーなどを原因とする、慢性的な鼻づまりに悩まされているケースも少なくありません。子供の鼻が常にズルズルしていると、親としても気になってしまいますよね。
とはいえ、熱や痛みがなければ、つい放置されてしまいがちな鼻づまり問題。実は子供の脳や体の発達と、大きく関わっていることをご存知ですか?
鼻づまりが子供に及ぼす影響や、鼻詰まりの原因について解説します。鼻づまり対策や解消するメリットについてもお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。
鼻づまりと脳や身体への影響について
鼻が詰まっていると、鼻呼吸が難しくなってしまいます。口呼吸になることで、いびきや喉の痛みなどのトラブルを引き起こしやすいことは、比較的よく知られています。
しかし、幼い子供たちにとって、鼻づまりによる悪影響はそれだけではありません。なんと脳や体の発達にまで、影響を及ぼしてしまう可能性もあるのです。
日常的に鼻の通りが悪くなることで、頭がボーっとしたり集中力が低下したりする子供も多いものです。鼻づまりのせいで授業や課題に集中して取り組むことができなくなれば、学力の低下が心配されます。
また、意識がボーっとしていたり、集中力が発揮できなかったりする場面では、勉強やスポーツに対して積極的に取り組むことも難しくなってしまいます。心や体の発達にも、悪影響を及ぼしてしまいます。
それ以上に、より深刻に捉えるべきだと言われているのが鼻づまりによる、子供の睡眠の質が低下してしまうことです。
夜間に鼻が詰まって呼吸が苦しくなれば、必然的に眠りが浅くなってしまいます。すると成長ホルモンが十分に分泌されなくなり、脳や体が思うように発達しなくなると言われています。
知らないうちに睡眠不足に悩まされている子供は、以下のような問題を抱えるケースも多いものです。
- 情緒不安定
- ちょっとしたことでもキレやすい
- 何事にも、前向きな気持ちを抱きにくい
これらの項目は、子供自身の性格として捉えられやすいもの。しかし実際には、鼻づまりによる悪影響が関連しているのかもしれません。
鼻づまりの原因
子供の生活に悪影響を及ぼす鼻づまりには、主に以下の2種類が存在しています。
- 感染性鼻炎(急性・慢性)
- アレルギー性鼻炎
感染性鼻炎の原因となるのは、病原微生物です。「風邪を引いて鼻水が止まらなくなってしまった!」なんてときには、こちらのケースが当てはまります。
アレルギー性鼻炎の原因は、アレルゲンです。どの物質に対してアレルギー反応を示すのかには、個人差があるものですが、もっともよく知られているのが花粉症です。幼い子供の場合、花粉以外にも埃やダニなどのハウスダストがアレルゲンとなることもあります。
これ以外には、外部からの刺激や薬、心の状態や病気が原因で引き起こされる鼻づまりも存在しています。
鼻づまりが解消されることの利点
鼻づまりを解消する利点は、以下のとおりです。
- 匂いを敏感に感じ取ることができるようになり、五感が発達する
- 睡眠の質が上がることにより、生活全体の質がアップする
- 授業や勉強に集中できる
- 病気や虫歯になりにくくなる
- 口臭が気になりにくくなる
鼻が持つ役割といえば、さまざまなニオイを識別するということです。いい匂いはもちろんのこと、悪臭なども実際に経験することで、子供は五感を鍛えていきます。また匂いをしっかりと感じとれるようになることで、味覚の発達にもつながっていきます。
睡眠の質が上がれば、生活の質を高めることにもつながりますし、集中力を発揮しやすい環境も整いやすくなります。
また、口ではなく鼻で呼吸をする習慣が身につくことで、病原菌や虫歯菌を体の中に入れづらい生活を実践していけることでしょう。口が渇きにくくなり、口臭予防にもつながります。
鼻づまりを解消するメリットは非常に多くありますから、ぜひ積極的に検討したいところです。
鼻づまり対策
鼻づまりを解消するメリットがわかったところで、気になるのが実際の対策についてです。以下の項目を参考にしてみてください。
- 手術を受ける
- アレルギー症状を緩和するための工夫を行う
- 炎症を抑えるための薬を使う
- 鼻づまりの原因となっている病気を治療する
鼻づまりへの対策をしっかりと行うためには、まず鼻づまりを引き起こしている原因を知る必要があります。原因がわかれば、その後の対処法についても見えてくるでしょう。
年齢や状況によっては、手術を受けるのがベストと判断されることもあります。メリットやデメリットについてしっかりと把握した上で、子供と一緒に決断するのも良いでしょう。
まとめ
子供にとっても身近な鼻づまりですが、放置しても良いことはありません。子供の睡眠の質を落とし、心や体、そして脳の発達にまで、悪影響を及ぼしかねないということを、しっかりと頭に入れておいてください。
特にアレルギー性鼻炎を抱える子供たちにとっては、「鼻づまりの状態が自然な状態」になってしまっている可能性もあります。鼻づまりを解消することで、子供のやる気や性格にまで変化がみられるケースも少なくありません。
「たかが鼻づまりだから」と問題を放置するのではなく、子供の健やかな発達のために、ベストな対策を検討してみてください。学力向上にもつながりそうですね。
参考サイト
参考文献
- 飯田誠(2007)『鼻の病気がわかる本』株式会社法研