仕事や勉強に取り組む際に、「もっと記憶力があったら……」と思ったことはありませんか? 仕事の手順を覚えたり、顧客の顔や名前を記憶したり、勉強で暗記科目に取り組んだり…。記憶力が高くなれば、さまざまなメリットを実感できることでしょう。
「生まれつきの能力」と思いがちな「記憶力」ですが、実は自分自身の工夫次第で、能力を高めることが可能だということをご存知ですか? 日常生活の中でできる、記憶力向上トレーニングと共に、「今、どうしてもコレを覚えたい!」と思ったときに使えるテクニックを紹介します。
記憶力を向上させるのに効果的なトレーニング
記憶力を向上させたいと思ったときには日常生活の中で、トレーニングを積み重ねていきましょう。誰でも手軽に実践できるメニューを、3つ紹介します。
★人の名前を思い出す
私たちにとってテレビは非常に身近な娯楽ですが、ただぼーっと見ているだけでは、脳のトレーニングにはなりません。記憶力アップを狙うのであれば、「記憶する」「思い出す」という手順を、こまめに練習するのがオススメです。
テレビには多数の芸能人が登場しますから、目に入った人の名前を片っ端から声に出して言ってみましょう。最初は「誰だっけ……」なんてこともありますが、徐々にスムーズに思い出せるようになるはずです。
★言葉を見たら、イメージにつなげる
日常生活の中で何らかの「言葉」を目にしたら、ぜひ具体的なイメージにつなげることを意識してみてください。もちろんこのイメージは、誰かに理解してもらう必要はありません。あくまで自分の印象に残るものを作り上げましょう。
言葉にイメージをつなげる作業は、言葉に紐づけをして、思い出しやすくするためのもの。普段から訓練しておくことで、いざ覚えたい言葉が出てきたときも、スムーズに対応できます。
★小刻みに読書をする
読書は、脳の活性化にも良い習慣です。よりトレーニング効果を高めたいのであれば、小刻みに読書をする習慣を身につけてみてください。
15分ほど読んだら、5分ほど別の作業をして、その後続きを読み出します。このとき、脳内で行われているのは、「最初の15分で読んだ内容を忘れないよう、反芻する」という作業です。最初に読んだイメージを明確に維持し続けるため、その情景を思い浮かべている方も多いことでしょう。
再度本を読み始めるときには、先ほど読んだ内容について情報を整理することで、より一層トレーニング効果が高まるはずです。
何か記憶をするときに使えるテクニック
毎日継続的にトレーニングを行うことも大切ですが、「今すぐに覚えたいのだから、そんな暇はない!」と思うこともあるでしょう。こんなときに使えるテクニックは以下の二つです。ぜひ活用してみてください。
★場所と関連させて記憶する
人間はその進化の過程において、「場所」に関する記憶を非常に重視してきました。「どこ」で食べ物を見つけられるのか、「どこ」に行くと危険なのかなど、人間の生命活動に深く関わっていたのが、「場所」に関連する記憶だからだと言われています。
このような特性を活かし、覚えたい事柄と「場所」を結び付けることで、記憶が定着しやすくなると言われています。頭の中で「場所」を思い浮かべたら、そこに「言葉」を関連させていきましょう。いくつかの物事を同時に記憶したいときには、自分自身が場所を移動するようなイメージで、記憶していくのがオススメです。
まず「玄関」で「○○」という単語のポスターを目にしたら、次は廊下で「△△」をして、リビングに入って「××」を思い浮かべるという具合ですね。自身の動きを具体的にイメージすることで、記憶が定着しやすくなります。
★ストーリーを作る
もう一つオススメなのが、物事をストーリーに仕立てて記憶するという方法です。単なる数字の羅列であっても、語呂合わせを作り、そこから想像を膨らませてストーリーに仕立てることで、記憶しやすくなるでしょう。
1985648という、一見すると何の意味もなさそうな数字の羅列でも、「いく(19)」よ「やっこ(85)」と「むしゃ(648)修行」という語呂合わせにして、やっこさんが武者修行に出かける様子で記憶することで、非常にわかりやすくなります。
ストーリーや語呂合わせは、自分の好みで決定してOKです。「馴染みやすい」と思えるものをチョイスしましょう。
記憶力を高めると、日常生活で助かる場面も多くなります。仕事でも学習でも、より高い成果を期待できるはずです。今回紹介したトレーニング方法や、すぐに実践できるテクニックも使いながら、記憶力向上を目指してみてください。また、有酸素運動も記憶力の向上に効果があります。
参考サイト
参考文献
- 高田明和(2004)『高田明和の40歳から「賢い脳」をつくる「脳トレ」ノート』講談社発行
- 加藤俊徳(2017)『1万人の脳を分析した医学博士が教える 脳を強化する読書術』朝日新聞出版発行