自分の気持ちや考えを相手にきちんと届けるため、また、複雑な問題を体系的に考えるために必要となるのが倫理的思考力です。日本の子供は、諸外国の子供と比較して、この論理的思考力が弱いとも言われています。
学力や表現力を高めるためにも、欠かせない論理的思考力。日常生活の中で高めていくためには、いったいどうすれば良いのでしょうか。トレーニング法と具体的なテクニックについて紹介します。
効果的なトレーニング方法? 日常生活でも手軽にできるトレーニング
論理的思考力を鍛えるためには、3つのステップを意識する必要があります。まずは家庭内で「自分の気持ちを言葉で伝える」ことを意識しましょう。「言わなくても伝わるから」という理由で、言葉を省略するのはオススメできません。単に「ジュース!」と言うだけではなく、「それをどうしたいのか」までを、しっかりと伝えるようにします。慣れてきたら「なぜ○○なのか」という理由まで、きちんと伝えられるよう訓練しましょう。
これらのトレーニングに慣れてきたら、次は筋道を立てて状況を説明するというトレーニングを行います。子供にとっては、難易度の高い問題かもしれませんが、最初は大人が、質問で子供の答えを誘導してあげると良いでしょう。「いつ?」「どこで?」「なぜ?」などの質問を丁寧に繰り返すことで、子供自身も「筋道を立てて考える」という習慣がついていきます。
最後のステップは、「ではどうすれば解決できるのか」という解決法を提示するというものです。さまざまなパターンを経験することで、子供は自分自身で「優先順位をつける」「消去法で考えてみる」など、あらゆる手段を使って「結局のところ、自分はどうしたいのか」を決断できるようになっていきます。
論理的思考力を鍛えるためのトレーニングは、親子の会話の中から生まれていきます。子供の何気ない質問にも、論理的思考力を鍛えるためのヒントは数多く隠されていますから、見逃さないようにしましょう。
論理的思考力を発揮したいときに使えるテクニック
論理的思考力を発揮したいときに使えるテクニックの一つに、「ブレーンストーミング」があります。ブレーンストーミングは、通常は仕事の会議などで行われるもので、「テーマ」に対して自由にいろいろな意見を出し合い、その中から問題の解決法を見出すためのテクニックとなります。
ブレーンストーミングは、一人で行うこともでき、この場合は「テーマ」に対する自分自身の考えを、どんどんと紙に書きだすことで進めていきます。このときのコツは、どんなに「くだらない」と思うような考えでも、きちんと紙に書きだすこと。自由な発想で、次から次へとアイデアを生み出していきましょう。紙に書きだすことで、新たな解決策が見つかる可能性も高まるはずです。
また、ブレーンストーミングの手法の一つでもある、ウェブ法を使って、自身の考えを深めるのもオススメです。紙の真ん中に「テーマ」を記載したら、そこからどんどん蜘蛛の巣のように、自身の気持ちをつなげていきます。自身の発想を自由につなげていくことで、これまでは気付かなかったような「事実」にたどり着くことができるかもしれません。
論理的思考力の基本は「理由を挙げて判断する」ということです。ブレーンストーミングもウェブ法も、慣れない内は「アイデアが浮かばない」と悩むこともあるかもしれません。しかし、何度も繰り返すことでコツがつかめてきますから、ぜひ実践してみてください。
論理的思考力を身につけることができれば、算数や国語、作文や感想文など、あらゆる場面で役立つことでしょう。これからの時代の「学習」においては、欠かすことができないスキルだと言われています。この論理的思考力を育てるためには、幼いころからの周囲の働きかけが重要なポイントとなります。ぜひ日常生活の中で、トレーニングを意識してみてください。
参考サイト
- 頭のいい子はみな「直感力」を鍛えている―東洋経済オンライン
- 中国の「子どもの論理的思考力」が高い理由は?―プレジデントオンライン
- 論理的思考力の始まりを見逃すな! 「理由を挙げる姿勢」は、大切にしたい “タカラモノ”―こどもまなび ラボ | 子どもの教育を考えるメディアサイト
参考文献
- JAMネットワーク(2002)『親子で育てる「じぶん表現力」』株式会社主婦の友社