自制心とは、自分自身の感情や欲望をうまく抑えたり、適度にコントロールしたりする心のことを言います。まだ幼少期の子供に「自制心を」と言われても、あまりピンとこない方も多いのかもしれませんね。
しかし、近年、幼い頃の自制心が、大きくなってからの成績にも関連することがわかってきています。なぜ子供の学力を伸ばすことに「自制心」が関わってくるのでしょうか。その重要性と共に、子供の自制心を高めるトレーニング法を紹介します。
自制心がなぜ重要なのか?
自制心は、人間が社会生活を送る上で欠かせないものです。自分自身の感情や欲望をコントロールできない人は、円滑な人間関係を築くことが難しいでしょう。仕事や人付き合いで苦労することも予想されます。そしてこれは、大人だけの問題ではありません。幼稚園や小学校で団体生活をスタートするときには、きちんと自制心を備えていることが、周囲とのトラブルを予防することにもつながるのです。
自制心がない子供は、自身の欲求のみを追求し、周囲に迷惑をかけても意に介しません。ルールを守ることが難しければ、毎日の授業や活動に参加するのが難しくなってしまいます。居心地の良い友人関係を築くことも、難しくなってしまうのかもしれませんね。
また、子供の自制心は、その子の成績とも深く関連することが分かりつつあります。自制心がきちんと育っている子供は、自分の行動を自分の力で律することができます。「テレビ」や「ゲーム」など、子供を誘惑するものが多々ある中で、それらとどのように付き合っていくのかは、子供自身が決定すること。自制心の高い子供の方が誘惑に流されにくく、毎日の勉強習慣や理想的な生活リズムを身につけやすいと言われています。
この自制心は「成長と共に自然と身につくもの」と考えるのは少々危険です。子供の頃の自制心の有無は、大人になってからも引き継がれやすいことがわかっています。子供の頃にきちんとした自制心を身につけ、自身の学業・社会生活を、自分自身の力でコントロールできるよう導くことが、大切なのですね。
自制心を高めていくトレーニング
では具体的に、子供の自制心はどのように高めていくべきなのでしょうか。子供の自制心を高めるトレーニングには、「日常的なしつけ」を活用するのが効果的です。片付けや勉強、おやつやお風呂に関するルールを決めて、それを守ることが、自制心を育てるトレーニングにつながります。
このような生活の中では、子供は自然と「やりたいことを我慢する場面も必要だ」ということを学んでいきます。「○○ちゃんがきちんと片付けをしてくれたから、ピカピカで気持ちがいいね!」なんてポジティブな声かけをすることで、「自制心を持つことで、良い結果につながる」という成功体験を積んでいけることでしょう。
とはいえ、ただ単に「子供を支配する」スタイルのしつけでは、自制心を育てることはできません。この場合、子供は「親に言われたから」という理由だけで行動し、「なぜダメなのか」を考える機会を失われてしまうためです。
自制心を学ぶ過程では、失敗は付き物です。それを優しく受け止め、「どうすれば良かったのかな?」なんて、子供が学べる環境を用意してみてください。親がしっかりと子供に愛情を伝えることは、自制心を育てるために重要なポイントとなります。
子供にとって魅惑的な物事が多い時代だからこそ、オンとオフのバランスを意識して生活すること、そして親自身が一貫したルールを守る姿を見せることが大切です。
自制心を持つことは、子供がスムーズに社会生活を送るため、また、その能力を開花させていくために重要なポイントとなります。幼い時期には「まだ小さいから」と見逃してしまいがちですが、日常生活の中の工夫で、ごく自然に「我慢」を教えることは難しくありません。子供に対して温かな愛情を向けながらも、なぜ自制心が必要となるのか、理解した上でトレーニングをしてみてはいかがでしょうか。
参考サイト
- IQよりも自制心!? 4歳児の「待てる子」がやっていたこととは?―SHINGA FARM. 育児に悩むご家庭を応援! 子育てから受験までの役立つ情報を発信するメディア
- 親が○○だと、子供の「自制心」が育たない―ダイヤモンド・オンライン
- 我慢強い子どもは成功する!? 幼児期から始めたい自制心トレーニング―東京(広尾・自由が丘)の幼児教室ならGymboree(ジンボリー)
参考文献
- 谷田貝公昭(2004)『小学校生活でつまづかないしつけと自立』合同出版株式会社