子どもの脳の発達は前頭葉に働きかけよう!効果的なトレーニング法も

子どもの脳の発達を促したい!と思ったときには、まず周囲の大人が、「子どもの脳の発達」について正しい知識を身につけることが大切です。子どもの知識や感情、行動と深く関わっているのは、脳の中でも「前頭葉」と呼ばれる場所です。前頭葉とはどのような働き・機能を持ち、どう鍛えていくべきなのでしょうか。子どもに効果的なトレーニング法と共に紹介します。

前頭葉とは?

まずは「前頭葉」について知りましょう。前頭葉は、人間の脳を構成する一部で、おでこのすぐ後ろのところにあります。脳にはさまざまな部位があり、それぞれで別の役割を担っていますが、前頭葉の役割は、主に「体を動かす」ということです。

人間の脳は、その他の動物と比較して非常に特徴的だと言われています。中でももっとも違うのが、前頭葉に含まれる「前頭前野」と呼ばれる場所です。前頭前野は、人間の大脳の約3割をも占めています。それだけ人間にとって重要な部位であり、人間らしい振る舞いの元となっていると言えるでしょう。

このような重要な部位でありながら、近年では、前頭葉の発達具合が未熟なまま大きくなってしまう子どもが増えていると言われています。自身の感情や行動をコントロールできずに「キレる」子どもは、この前頭葉の未発達が関連していると言われています。

子どもの脳力を伸ばし、成績をアップさせたい!と願うときはもちろんのこと、人間社会にうまく適応して、ストレスが少ない状態で生活していくためにも、前頭葉・前頭前野の発達を促すことは重要なポイントとなります。脳の力を伸ばしたいと思ったときには、まずこの「前頭葉」を意識するところからスタートしましょう。

働き・機能など

人間の脳には、前頭葉以外にも、側頭葉や頭頂葉、そして後頭葉といった部位があります。側頭葉や頭頂葉、後頭葉は、人が何かを触ったり見たり聞いたりするときの、感覚刺激を受け取る場所です。

それぞれの部位がこれらの刺激を受けると、その情報を前頭葉へと送ります。前頭葉はそれらの情報を総合的に組み立てたり推理したり、判断したりしています。またこれらの情報を元に、実際に体を動かすことも、前頭葉の仕事となります。人間が人間らしく生活していくために、前頭葉は非常に重要な役割を担っているのです。

さまざまな感覚から必要な情報を整理して、それを実際の行動へと移していける子どもは、才能豊かで非常にクリエイティブです。自身の感覚を大切にし、またそれを行動で表現できますから、感性豊かな子どもへと成長していけることでしょう。

また、幼いころから前頭葉・前頭前野がさまざまな刺激を受け、しっかりと発達していくことで、知能指数のアップにもつながると言われています。子どもの成績をアップさせたい!と思ったときには、ただ単純に知識を詰め込もうとするのではなく、前頭葉・前頭前野の発達を促した方が効果的であるというわけですね。

前頭葉の機能が低下するとどのようになるのか? また、向上するとどのようになるのか?

前頭葉の機能は、人間が人間らしく振る舞うために必要なもの。その働きが低下すれば、人間らしい感情の動きや思いやりの心、そして物事を記憶する力が弱くなってしまうと言われています。近年、学級崩壊を引き起こしたり、「キレる」子どもが増えたりしているのは、この前頭葉の機能が低下している子どもが増えているためではないかと考えられています。

一方で、前頭葉の機能は、自分自身の努力や周囲の大人の関わりの中で向上させることも可能です。前頭葉の機能を伸ばせば、感覚から得たさまざまな情報を論理的に整理し、それを行動に移すことができるようになります。周囲に対して思いやりを持った行動がとれるようになるほか、自身の感情や行動を、自分自身で律することもできるようになるでしょう。

これから先の学習の土台となるのはもちろんのこと、記憶力を高めることにもつながります。総合的にみて「頭の良い子ども」「周囲のみんなから愛される子ども」へと成長させることができます。

体と心を健やかに成長させていくためには、前頭葉・前頭前野の機能向上が欠かせないポイントとなります。目に見えない部位ではありますが、幼いころから周囲の大人が意識することで、子どもの才能や感性を育てていくことができるでしょう。

前頭葉を鍛えるには? 効果的なトレーニングは? 日常生活でできる手軽なトレーニングは?

前頭葉の発達を促すためには、親子のコミュニケーションが鍵となります。子どもと言葉のやり取りをすることで、子どもの脳を活性化させることができるでしょう。たとえば絵本を読んだあとに、「○○はどこにあったかな?」「こんなお話だったかな?」と語りかけることで、子どもは記憶をたどりながら、絵本の世界のイメージを膨らませていきます。

もう少し大きくなったら、子ども自身が音読をしたり、黙読をしたりすることが、前頭葉を活性化させるトレーニングになるでしょう。できるだけ早いスピードで読めるようになるようトレーニングを積むことが、脳の発達にもつながります。黙読をするときには、その情景を思い描くことが、コツとなります。最初は、絵に描いてもらうのも良いかもしれませんね。

とはいえこれらのトレーニングは、無理やりやらせてもあまり意味がないものです。それよりも、日常の遊びの中に取り入れる方が効果的だと言えるでしょう。たとえば「ごっこ遊び」は、幼い頃から親しみやすい遊びの一つですが、子どものイメージや想像力を膨らませてくれる遊びです。積極的に関わりながら、遊んでみてください。

また、子どもの発達段階に合わせた「言葉遊び」を取り入れるのもオススメの方法です。幼い頃は「しりとり」でも充分に効果が期待できますし、慣れてきたら「先頭の文字から言葉をつなげる」なんて、ルールを複雑化すると良いでしょう。


子どもの脳の発達をサポートするためには、前頭葉・前頭前野を活性化するのがオススメです。周囲の大人の働きかけにより、子どもの発達は促されます。トレーニング法も、決して特別な方法ではありませんから、ぜひ日常生活の中で取り入れてみてくださいね。

参考サイト

参考文献

  • 久保田競 久保田カヨ子(2016)『1歳からみるみる頭がよくなる51の方法 感性豊かな脳を育む五感トレーニング』ダイヤモンド社