知的好奇心はすべての子どもが持っている!効果的に伸ばすための知識・働きかけを紹介

子どもの脳力を引き出すためのキーワードは、「好奇心」です。好奇心が旺盛な子どもは、どんなことに対しても前向きな気持ちで能力を発揮していけることでしょう。その積み重ねで、大きな成長へとつながっていくのですね。

とはいえ世の中には「子どもの好奇心を伸ばすと言われても、どうすれば良いのかわからない」「うちの子は、あまり好奇心が強くないみたい……」なんて悩んでいる方もいるはずです。こんなとき、親はどう子どもを観察し、どう関わっていくべきなのでしょうか。詳しく紹介します。

赤ん坊がどんなことに興味があるのかを探るときにどんなことに注目すればよいのか? 「注視」や「リーチング」とは?

「好奇心旺盛な子ども」と聞くと、あなたはどんな子どもを想像しますか? 元気いっぱいで絶えず何かを探しているような、3~5歳の子どもをイメージする方も多いのかもしれませんね。

しかし、実際には、「好奇心」はどんな子どもにもあるのです。大人から見て「好奇心が強くない」と判断されがちな子どもであっても、まだ言葉を話せない赤ちゃんであっても、好奇心は持っています。ただそれが、周囲にうまく伝わっていないだけ、と捉えれば良いでしょう。

子どもの好奇心を伸ばすためには、まず周囲の大人が「子どもが興味・関心を抱くポイント」についてきちんと知っておく必要があります。そのために覚えておきたいのが「注視」と「リーチング」という二つのワードです。

注視とは、子どもの視線がじっと一つのところに注がれていること。そしてリーチングは、対象に対して手を伸ばす行為を指しています。子どもが行う何気ない動作のように思われますが、実はこれも、立派な好奇心の表れなのです。「じっと見つめていること」や「手を伸ばしていること」は、子どもが「もっと」と思っている証拠でもあります。寝ているだけに思える赤ちゃん時代にも見られる行動ですから、ぜひ注目してみてください。

また、子どもがもう少し大きくなり、2~3歳になると、リーチングの種類もより豊かになってきます。「手を伸ばす」だけにとどまらず、「声が出る」「自分の足でそちらに向かう」などの行動も、好奇心を刺激されているからこそ。見逃さないようにしましょう。

おもちゃ選びのポイントは?

子どもにとってお気に入りの「遊び」となり、また知的好奇心を育てる「学び」にもつながるのが、各種おもちゃです。赤ちゃんの頃から「子ども自身が興味関心を抱きやすいおもちゃ」を選び、与えることが、脳を成長させる第一歩となります。

赤ちゃんの頃は、安全で丈夫なものを選ぶと良いでしょう。赤ちゃんにとって、手で握ったりさわったり、口に入れたり舐めたりするのは、ごく基本的な行動です。赤ちゃんの自然な行為を邪魔しないものを選択するのがオススメです。

鮮やか過ぎる色合いのものは、赤ちゃんにとって刺激が強くなってしまいます。かといって淡い色合いでは、赤ちゃんの関心を引けないということも予想されます。大人が好むよりも「ほんの少し華やかな色」を意識すると良いでしょう。

もう少し大きくなってくると、「市販のおもちゃ」を積極的に買い与える親御さんも増えてきます。しかし、子どもにとっては、身近にあるすべてのものが「おもちゃ」なのです。「お母さんが毎日使うフライパン」も「お父さんが読んでいる新聞」も、好奇心を刺激する立派なおもちゃ。次から次へと新しいおもちゃを買ってくるよりも、「子どもが興味を示した日常のアイテムを、思う存分遊べる環境を作る」方が、子どもの好奇心を育むきっかけにつながるはずです。

親はどのようにかかわっていくべきか?

幼い頃に子どもの好奇心を伸ばせるかどうかは、親の関わり方によっても大きく変わってくるものです。子どもがごく自然に備えている「好奇心」、せっかくですから、上手な関わり方でどんどん伸ばしてあげましょう。

一つ目のポイントは、「子どもが好きなように行動できる環境を、整える」ということです。室内から危険なものは排除し、子どもが自由に遊べる空間を用意してあげましょう。赤ちゃん育児中には、「ティッシュを箱から全部出されてしまった!」なんてエピソードを語る方も少なくありませんが、全部出したら、また、戻してあげれば大丈夫です。「いつも」は無理でも、時間や気持ちに余裕があるときには、ぜひ実践してみてください。

また、自分の足で歩き、外の世界に出て遊ぶようになれば、「大人が先に立って手を差し伸べる」のではなく、「子どもがやりたいことに合わせて、後ろからそっとサポートする」という姿勢でいるのがオススメです。ときには「家に帰るまでのたった5分が、1時間になってしまった!」なんてこともあるかもしれません。

しかし、子どもは、その1時間の中でたくさんの経験を積んでいます。「与えられた経験」ではなく、「自ら選び取った経験」の中で、子どもは多くを学び、「楽しい」という気持ちを強めていきます。この「楽しい」という気持ちこそが、知的好奇心・探求心を高めるための基礎となります。


知的好奇心が旺盛な子どもは、大きくなってからも、自分から進んで勉強を楽しみ理解を深めていきやすいと言われています。そのために親ができる関わり方は、実にさまざまです。赤ちゃんの時期から適切なサポートを行うことで、子どもの可能性を広げていってくださいね。

参考サイト

参考文献

  • 汐見稔幸(2016)『新装版 0~3歳 能力を育てる 好奇心を引き出す』株式会社主婦の友社