年齢別モンテッソーリ教育を実施する際におススメの教具「知育玩具」

将棋界のニューエース、藤井聡太棋士が幼少期から受けてきたことでも知られる、モンテッソーリ教育。マリア・モンテッソーリという一人の女性が生み出したこの教育法は、適切な環境と援助を与えることで、子供自身が自分の力を伸ばしていくという特徴を持っています。

そんなモンテッソーリ教育において、子供たちの成長の手助けをしてくれるのが、教具と呼ばれる専用のアイテムです。自宅でもモンテッソーリ教育を取り入れたい!と思う方に向けて、年齢別におススメの教具を紹介します。

1歳から

モンテッソーリ教育で使われる教具は、子供たちが自由に選び、自分自身の意志で取り組むことが重要です。自分が選び、そして自分の好きなことだからこそ、子供たちはその才能を開花させていきます。周囲の大人たちは、特定の活動を強要するのではなく、自由な発想で取り組めるよう見守ることが大切です。

1歳~3歳という時期は、子供の脳や心が大きく発達する時期。しかしその一方で、個人差が大きかったり、大人の意図しない方法で遊んだりするケースも少なくありません。できるだけ安全な環境、そして安心して使用できる教具を揃えて、優しく見守ってあげてください。

★シール貼り

シールと台紙がセットになっているシール貼りセットは、幼い時期からでも楽しみやすいモンテッソーリ教具の一つです。その内容は非常にシンプルで、台紙に合わせてシールをどんどん貼っていくというもの。実際に子供にやらせてみると、目や手、そして頭を使いながら集中して取り組んでいる様子がうかがえるでしょう。楽しみながら、手先の器用さを育んでくれます。

★紐通し

モンテッソーリ教育の中でも非常に有名な教具の一つです。さまざまなモチーフを、紐にどんどん通していく教具となっています。こちらもシンプルに見えますが、子供にとっては集中力が必要とされる作業です。

紐通しは、モンテッソーリ教具の中でも比較的手作りしやすい種類として知られています。今の子供の発達段階に合わせて、モチーフや通し穴の大きさを調整してみてください。子供が気に入ったら、徐々にレベルアップしていきましょう。

★円柱さし

円柱さしも、モンテッソーリ教育で人気の教具の一つです。感覚教具の一つで、一つ一つの円柱をぴったりの穴へとさしていきます。円柱にはさまざまな種類があり、直径が違うものや直径は同じでも高さが異なるものなどを、きちんと見分けてはめこんでいきます。手先の器用さを育むと共に、図形や大きさの理解にも役立ってくれます。

3歳から

3歳頃になると、子供たちは大人のすることを何でもしたがる模倣期や、より高度な運動の敏感期を迎えます。またそれだけではなく、文字に対する敏感期や数に対する敏感期もほどなくやってくるでしょう。

この時期にどう働きかけるのかが、子供たちの今後の成長にも大きく関わってくるからこそ、この時期の成長に適した教具を選んでみてください。

★木製型はめパズル

木製の枠の中に、ランダムな形状のパズルをぴったりとはめていく教具です。モンテッソーリ教具に親しみがない子供たちにとっても、純粋に「楽しそう!」という感情を抱きやすいアイテムだと言えるでしょう。実際に自宅に購入してみると、子供たちだけではなく大人も一緒に夢中になるケースが多いようです。

パズルのピースを単独で使って、自由に形作りを楽しむこともでき、想像力の発達にもつなげてくれることでしょう。

★縫いさしセット

3歳頃からの子供たちは、大人がやっていることに興味を持ち、真似したい!という気持ちを強めていきます。こうした時期だからこそ、モンテッソーリ独自の教具で、子供たちの能力を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

縫いさしセットは、針や糸、そして台紙などがセットになっていて、子供たちが縫いものやボタン付けをすることができます。難しいように思えますが、近くで見てサポートしてあげることで、どんどんその能力を伸ばしていく子供も少なくありません。

★ピンクタワー

こちらも人気のモンテッソーリ教具です。少しずつ大きさが異なるピンクの箱を、積んだり並べたりすることで、大きさや容量に関する基礎的な感覚を身につけることができます。

「ただ積むだけだとすぐに飽きてしまいそう」と思うかもしれませんが、積み方に工夫したり、自分なりの規則を考え出したりする子供も少なくありません。こうした工夫こそが、子供たちの成長を手助けしてくれます。

5歳頃から

5歳頃になると、子供たちはより高度な教具も使い、活動ができるようになります。楽しみながら、数や図形といった学習の基本となる概念に触れられる点も、モンテッソーリ教具の魅力だと言えるでしょう。

子供たちの好みもはっきりとわかってくる時期ですから、興味関心に合わせた働きかけをしてみるのもおススメです。

★靴ひもとおし

紐とおしの靴ひもバージョンで、比較的難易度の高いモンテッソーリ教具となります。靴と同じように、順番に紐を通していく教具ですが、自宅で専用の靴を用意する方法もおススメです。もちろん最後はしっかり結んで、手先の器用さを高めていきましょう。

★100並べセット

100並べセットは、1~100までの数字が書かれた、木製チップを並べる教具です。数字を並べることで、子供たちは数字同士のつながりや数の大きさについて学んでいきます。

全部並べるのではなく、あえて一部分だけを並べることも、子供たちの算数脳を刺激するポイントとなります。

★金ビーズ

子供向けの教具でありながら、十進法の概念について学べます。「位が上がる」「量が増える」という事実を、目で見える形で体感できることでしょう。点が線になり、それが面となり、積み重なって立体となっていく様子で、数の仕組みを学んでいけます。


モンテッソーリ教育は、モンテッソーリ教具があればそれだけで実践可能というわけではありません。専用の教具があり、それをもとに周囲の大人が適切な働きかけを行うことこそが、モンテッソーリ教育を行う際のカギとなります。

教育理念や目指すべき姿など、モンテッソーリ教育の基本を知った上で、家庭教育に取り組んでみてはいかがでしょうか。

参考サイト

参考文献

  • 教育問題研究会編 『藤井聡太四段も受けていた!モンテッソーリ教育法とは?~天才を育てる技術~』ゴマブックス株式会社 2017年