会社の業績をアップさせるために、優れたリーダーは欠かせない存在です。このため、リーダーシップを発揮できる人材は、評価されやすいという特徴があります。近年では、社員の年齢よりもリーダーシップの有無を重視する会社も少なくありません。リーダーシップの詳しい説明と共に、スキルの伸ばし方について紹介します。
リーダーシップとは、具体的にどんなもの?
リーダーシップという英単語を直訳すると、「指導力」や「統率力」となります。チームや企業全体のリーダーが、目標達成に向けてメンバー全員を引っ張っていく能力をイメージしてみてください。優れたリーダーシップを発揮できる人材がトップに立てば、当然成果は上がるでしょう。一方で、たとえリーダーの仕事を任されたとしても、業績は上がらずメンバー気持ちがバラバラだとしたら、「リーダーシップがない」と判断されてしまいます。
心理学者のダニエル・ゴールマンによると、リーダーシップは以下の6つの種類に分類されます。
- ビジョンリーダーシップ
- コーチングリーダーシップ
- 調整リーダーシップ
- 仲良しリーダーシップ
- 実力リーダーシップ
- 指示命令リーダーシップ
それぞれの特徴を、より詳しくチェックしてみましょう。
★共通の夢や信念が鍵となるビジョンリーダーシップ
リーダーとメンバーが共通のビジョンを持つことで、一体感を持って仕事を進められるリーダーシップです。メンバー同士の結束も強く、共通の目標に向かって効率よく突き進んでいけます。総合的に優れたリーダーシップと評価されることも多いのですが、共通のビジョンに具体性が足りない場合、単なる理想論で終わってしまう可能性もあります。
★メンバーの特性を活かして伸ばす「コーチングリーダーシップ」
メンバーそれぞれの特性を活かし、それぞれのやり方を実践するスタイルのリーダーシップです。リーダーとメンバーがコミュニケーションを取りながら、成長できるスタイルです。リーダーには高いコミュニケーション能力や、メンバー一人一人に気を配る洞察力、指導力が求められます。
★みんなの意見で成り立つ「調整リーダーシップ」
リーダーが一人で話を進めていくのではなく、早い段階からメンバーの意見を求め、取り入れながら結果を求めるリーダーシップです。民主的で新しい意見を取り入れやすいというメリットがある一方で、意見が対立した際に、話がまとまりにくいというデメリットもあります。メンバーの協調性を育てられるリーダーシップでもあります。
★チームの雰囲気が良好な「仲良しリーダーシップ」
リーダーとメンバーとの間に垣根がなく、同じ目線でコミュニケーションを図るリーダーシップです。和気あいあいとした雰囲気の中で、のびのびと個々のスキルを活かせるのですが、雰囲気を重視するあまり、成果が疎かになってしまうリスクがあります。
★諸刃の剣の「実力リーダーシップ」
圧倒的な実力を持つリーダーが、そのカリスマ性でメンバーを率いるタイプのリーダーシップです。メンバーとの相性が良ければ、抜群の効果を発揮するでしょう。
ただしそのためには、メンバーそれぞれのやる気や相応のスキルが求められます。リーダーについていけないメンバーが多ければ、リーダーシップは機能しません。
★素早く成果を出せる可能性がある「指示命令リーダーシップ」
リーダーからの指示や命令によって、メンバーを動かすリーダーシップです。メンバーそれぞれがやるべきことが明確なので、素早く成果を出したいときに最適だと言えるでしょう。ただしこちらのリーダーシップでは、部下のスキルは育まれません。また、チーム内の絆も育まれず、人材育成の側面から見ると、もっとも非効率です。
求められるのは、臨機応変な対応力
リーダーシップにもさまざまな種類があり、どんなリーダーシップが求められるのかは、状況や環境、メンバーによって変わってきます。リーダーが必要な場面で、求められるリーダーシップを発揮される人材こそが、高く評価されるのです。
たとえば、単純作業をできるだけ素早くこなしたいときに、役に立つのは、指示命令型のリーダーシップです。プロジェクトの再編など、全く新しい意見を取り入れたいときには、調整リーダーシップがおすすめです。
リーダーを任されることになったら、まずは自分が発揮しやすいリーダーシップ・苦手なリーダーシップについて認識しておきましょう。
その次に、現在の状況から、どんなリーダーシップが求められているのか推察します。苦手なリーダーシップが必要なときには、求められる役割を常に意識しながら、リーダーの役割を務めるよう意識してみてください。臨機応変に対応しましょう。
リーダーシップを伸ばすためのトレーニング法3つ
リーダーシップは、生まれつきの性質ではありません。普段の生活の中でトレーニングを積むことで、成長できるスキルの一つです。
「リーダーシップがない」と感じたときには、以下のトレーニングを実践してみてください。
★周囲の人と積極的にコミュニケーションを図る
優れたリーダーシップを発揮するために、欠かせないのがコミュニケーション能力です。普段から、職場の人はもちろんのこと、さまざまな立場・性格の人と関わっておくことで対人関係スキルが磨かれるでしょう。人とのコミュニケーションをより充実させるため、傾聴やペーシングなど、コーチングスキルを習得するのもおすすめです。
★些細なことでも、自分で決断する
リーダーシップを発揮するためには、決断力も必要です。どんなに些細なことでも構いませんから、自分自身で決断する習慣を身につけておきましょう。最適なルートを決断するためには、さまざまな情報を入手・分析する必要があります。普段からトレーニングを積んでおけば、重要な場面での決断スピードもアップできます。
★自分から動く
リーダーシップを発揮するためには、まず自分から動くことも大切です。人が動いてくれるのを待つだけでは、良い結果には繋がりません。自分から動いてみることで、新たなアイデアも生まれやすくなります。また、先頭を切って自分が動くことで、周囲への説得力を増すことにも繋がるでしょう。
まとめ
会社でリーダーを任されることになったけれど、リーダーシップを発揮できない!と悩む方は少なくありません。実際には、リーダーシップがないのではなく、状況に合ったリーダーシップが発揮できていないだけなのかもしれません。
リーダーシップの種類から、自分にとっての得意なタイプ・不得意なタイプを分析してみてください。発揮するべきリーダーシップの方向性が見えたら、悩みも軽くなるのではないでしょうか。
また、普段からリーダーシップを高めるためのトレーニングを積むのもおすすめです。どんな場面でも臨機応変に対応できる、理想のリーダーを目指しましょう。