シュタイナー教育は、オーストリアで生まれた哲学者、ルドルフ・シュタイナー博士が提唱した教育法です。シュタイナー博士の考えは、世の中のあらゆる方面に影響を与えていますが、その中でも広く知られているのがシュタイナー教育だと言えます。
子供たち一人一人の個性を大切にするシュタイナー教育。日本の幼稚園の中には、積極的に取り入れているところも多く、気になっているという方も多いのではないでしょうか。シュタイナー教育の詳細についてまとめます。
シュタイナー教育の特徴・メリット
シュタイナー教育では、人間の身体と心と頭をバランスよく育てることが大切だと考えています。人間が成長する段階を7歳ごとに3段階に分け、それぞれの時期に適した教育を行うことこそが、人間にとって重要なのです。
0歳から7歳までを第1 七年期と言い、この時期には身体や意志の強さを育てるのがシュタイナー教育の特徴です。7歳から14歳までが第2 七年期で、心や感情を育てることが望ましいです。14歳から21歳までが第3 七年期で、ようやく頭や思考力を伸ばすのに適した時期がやってきます。
このような考え方で教育を進めていくため、シュタイナー教育では幼児期の早期教育を良いものとは考えていません。それよりも、手足や身体全体をたくさん使って、思い通りに体を動かし、遊ぶことが大切だと考えられています。シュタイナー教育では、7歳になるまで文字や数字も積極的には教えないという徹底ぶりです。
またシュタイナー教育では、子供にテレビを見せることやキャラクターもののアイテムを使うことも推奨していません。子供にとって、テレビやそれに登場するキャラクターは刺激が強いもの。与えられる情報量も非常に多く、脳がパンクしてしまうと考えられています。テレビがついていると、その前で座り込んで動かなくなってしまう子供は少なくありません。シュタイナー教育で推奨される、体の発達を阻害してしまうのですね。
シュタイナー教育を行う幼稚園や学校では、子供たちが過ごす環境にもこだわっています。なるべく自然素材を用いて、安心して過ごせる雰囲気になるよう、インテリアにも気を配っているのです。シュタイナー教育にとって、教育とは芸術であり、授業においてもさまざまな芸術を用いて、子供一人一人のセンスを磨いていきます。
シュタイナー教育ならではの、異年齢が共に学ぶ縦割りクラスや同一担任制についても、子供たちが安心して生活できる環境づくりに役立っていると言えるでしょう。
日本でもシュタイナー教育は受けられる!
シュタイナー教育に興味を抱いたら、シュタイナー教育を取り入れている幼稚園や学校を選択するのがおススメです。特に幼稚園では、独自のこだわりとしてシュタイナー教育を行うところも少なくありません。
とはいえ幼稚園に通う時期は、幼児期の約3年のみ。身体と心、そして頭の成長のバランスを考えるなら、残念ながら不十分であると考えられます。シュタイナー教育の理念に共感できたら、小学校から高校まで、一貫したシュタイナー教育を受けられる専門の学校を選んでみるのもおススメです。
家庭でできるシュタイナー教育……素材にこだわってみよう
日本の一般的な家庭で、シュタイナー教育の全ての要素を組み込んだ教育を行うのは難しいかもしれません。独自の言葉も多く、また芸術的な授業も多くありますから、限界があるのも事実です。
とはいえ、シュタイナー教育で使われている「環境」を自宅に取り入れることは可能です。子供の成長を助けてくれる自然素材を積極的に選んでみてはいかがでしょうか。
例えば、プラスチックよりも天然の木材が使われた家具を選ぶのがおススメです。身につける衣服も、化学繊維よりも自然のままの生地の方が肌触りが良いでしょう。特に子供にとって興味を抱きやすく、またその成長を手助けしてくれるのがおもちゃです。木製のおもちゃは、触った感じも柔らかいもの。幼い頃からごく自然にこうしたアイテムに囲まれることで、シュタイナー教育の良さを取り入れることができるでしょう。
ノーテレビデーを作ってみる
現代の日本で、「幼児期にまったくテレビを見ない」というのは難しいかもしれません。テレビ以外にも、ネット動画やDVDなど、現代っ子の心を惹きつけるコンテンツは多数あります。完全に遮断するのは難しくても、時折“今日はテレビを見ない日”を設定してみてはいかがでしょうか。
テレビや動画がなければ、子供たちはそれ以外の遊びをするようになるでしょう。じっとしていても退屈ですから、自然と身体を動かして遊び始めるはずです。できれば、身近な大人も一緒にそうした遊びを楽しめるとですね。
シュタイナー教育に特徴的な、芸術性を大切にした遊びを取り入れてみるのもおススメです。水彩画を描いたり音楽を奏でたりといった行動も、子供たちにとっては立派な遊びの一つとなります。シュタイナー教育ならではの特別な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
テレビやキャラクター物が禁止と言われると驚いてしまう方も多いかもしれません。しかしシュタイナー教育が長く支持されてきたのは、その教育方針が子供たちにとって良い影響を与えてきたからこそ。家庭教育で、できることからスタートしてみるのもおススメです。