高い数学力やIT技術で知られるインド。こうした能力に秀でた人材が多数輩出されるのは、インド式教育のたまものだと言われています。
数学に必要な思考力やIT技術は、これからの時代に必要とされる能力ですから、「インド式教育で我が子を伸ばしたい!」と思う方も多いのではないでしょうか。
インド式教育の特徴と、日本の家庭で実践する際に取り入れたいポイントについて解説します。
インド式教育の特徴とは?
インド出身者は、世界各国の数学分野やIT分野で優れた功績を残しています。NASAには多くの科学者が在籍していますが、その30%以上がインド出身者だと言われています。このように優れた人材を生み出すポイントとなっているのが、ずばりインド式教育なのです。
インド式教育が特化しているのは、理数系の分野です。非常に高い数学教育を、低年齢の頃から行っています。例えば日本では小学校2年生で九九の学習をスタートしますが、インドの場合は幼稚園からスタートします。
小学校教育そのものも、日本よりも1年早い5歳からスタートし、小学校2年生を迎える頃には3桁の数字の掛け算にも取り組むようになるのです。計算力は全てというわけではありませんが、算数脳を鍛える上での基礎となります。幼い頃から基礎をしっかりと叩き込むことで、しっかりとした土台を作ることができるのでしょう。
またIT分野に関する教育も、インドにおいては非常に早期からスタートします。簡単な学習は幼稚園からスタートしますし、小学校2年生になれば、カリキュラムの中にしっかりとIT授業が組み込まれています。インド式教育を受ければ、算数やITに関する知識・技術をごく早い段階から身につけていけるのです。
またインド人が世界各国で活躍できる理由の一つが、高い語学力にあります。もともとイギリスの植民地であったインドにおいては、英語が準公用語として使われています。ヒンドゥー語が通じない場面でも英語なら通じる、といったケースも多く、日常的に英語を使用する機会に恵まれているのです。
それに加えて、インド式教育では語学力の向上にも非常に力を入れています。小学校教育では、英語を扱うだけではなく第二外国語、第三外国語の授業も積極的に行われています。
子供の頃から積み重ねてきた知識が大人になって花開いた結果が、現在のインド出身者による多方面での活躍なのでしょう。彼らを生み出してきたインド式教育には、日本人にとってもさまざまなメリットがあるということがわかります。
スピーチ・プレゼン力を鍛えよう
近年のインド式教育で非常に重視されているのが、アセンブリ教育です。インド人は世界の舞台で、自分自身の意見を伝え、議論する能力に長けていると言われています。私たち日本人に欠けていると言われることも多い能力ですが、世界の舞台でリーダーとして活躍するためには、必要不可欠なスキルだと言えるでしょう。
アセンブリ教育では、日常的に子供たちの考えや調べたこと、発見したことなどをみんなの前で発表させます。小学校では全校生徒の前で、英語で行われるケースも多く、こうした努力の積み重ねが高いスキルにつながっています。
日本の教育においても、スピーチ・プレゼンといった機会は徐々に増やされてはいますが、まだ十分ではありません。日常的に、子供の考えをスピーチさせ、ときに家族で議論をしましょう。日々の習慣にすることで、着実にスキルを高めていけるはずです。
道具を使って算数の基本を楽しく学ぼう
インド式教育では、算数の早期教育が特徴的だと言われています。とはいえ日本でそれを実践しようとしても難しいのが実情です。幼稚園児向けに、高いレベルの算数教室を行ってくれる塾は、まだまだ多くはありません。また幼い頃から無理矢理知識を詰め込もうとすれば、子供自身が算数嫌いになってしまうことも考えられます。
こんなときには、家庭内で遊び感覚で算数教育をスタートするのがおススメです。100玉そろばんは、遊び感覚で玉を動かしているうちに、位の概念を身につけられます。「1が10個集まって、10の位が1上がる」なんて考え方も、ごく自然に理解できるようになるでしょう。
このほかにも、タングラムは図形の理解に役立ちますし、マグネットパネルを使ったブロックは立体の理解を促してくれます。
大切なのは、子供一人で遊ばせるのではなく、時には親が一緒に取り組み、そして楽しむことです。身近な大人が一緒に集中して遊ぶことで、子供の知的好奇心を刺激できます。
語学力や多様性への理解は、家庭で積極的に取り入れてみよう
インド式教育のもう一つの要、語学教育も家庭で積極的に行いたいところです。日本の英語教育でも、ようやく4技能をバランスよく鍛える教育法が実践されつつありますが、インプットと比較してアウトプットする機会はまだまだ少ないもの。家庭教育でぜひ上手に補ってあげてください。
近年はオンライン英会話など、日本にいながらにして外国人の先生と実際に話せる機会も増えてきています。実際に会話を楽しみ、その中で学んでいくことで、大人になってからも役立つ生きた英語力を身につけられることでしょう。
また海外の方と積極的にコミュニケーションをとることは、お互いの文化や習慣を理解することにもつながっていきます。国際交流イベントなどにもぜひ積極的に参加してみてはいかがでしょうか。
インド式教育と言えば、主に理数系・語学系における早期教育が注目されがちです。とはいえ、日本の家庭でそれをそのまま取り入れるのは、難しいかもしれません。過度な早期教育に頼らなくても、家庭内でのちょっとした工夫で、インド式教育の良いところ取りはできるはずです。ぜひ、できるところからスタートしてみてください。