子供の脳を委縮させる!育児における不適切な関わり方……マルトリートメントとは?

子育てにおいて、子供との関わり方に悩むパパ・ママは少なくありません。健全にすくすくと育っていってほしいと願うからこそ、自分自身の育児に自信が持てなくなった経験はありませんか?

今回は子供に対する不健全な養育、マルトリートメントについて紹介していきます。親として知っておくべきマルトリートメントの内容と共に、子供の脳に与える影響を解説します。

子供との関わり方について悩んだときには、ぜひ参考にしてみてください。

子供の脳に及ぼす悪影響とは

マルトリートメントという言葉に、聞き覚えがないと感じる方も、まだまだ多いことと思います。マルトリートメントとは、日本語で「不適切な養育」を指す言葉です。近年注目度が高まっている虐待や体罰は、このマルトリートメントの典型例と言って良いでしょう。

古い時代においては、「子供のしつけのため」という理由で容認されるケースも少なくなかったマルトリートメントですが、近年その悪影響が注目されています。マルトリートメントを受けた子供の脳は傷つけられ、変形してしまうことがわかってきたのです。

脳が傷ついてしまった子供たちは、学習面だけではなく生活面においてもさまざまな問題を抱えやすくなってしまいます。

たとえば、

  • 学習意欲の低下
  • 引きこもり
  • 周囲の人との信頼関係が築けない愛着障害
  • コミュニケーション能力の低下

こうした症状に悩まされる子供も少なくありません。大人にとっては「子供のためを思ってやったこと」「一時のことで、もはや記憶にない行動」かもしれませんが、子供にとっては非常に大きな出来事であり、その後の長い人生に余計な影を落としてしまう可能性もあるのですね。

どのような関わり方が不適切なのか?

子供の健全な発育を妨げるマルトリートメントには、以下のような行動が含まれます。

  • 各種虐待
  • ネグレクト
  • 体罰

子供に対する不適切な養育として、もっとも広く知られているのが虐待です。暴力をふるうといった肉体的虐待はもちろんのこと、心理的な虐待や性的な虐待ももちろん含まれます。

育児放棄や体罰についても、健全な発育を妨げるマルトリートメントの一種です。大人の都合で子供に不適切な養育を行うことは、想像以上に根深い問題となって子供を苦しめてしまいます。

気が付かずにマルトリートメントを行っているケース

マルトリートメントは、虐待よりも広い範囲で使われている言葉です。つまり世間一般的には「虐待」とまでは言えなくても、子供の脳を傷つけ萎縮させるマルトリートメントに当てはまる行為が、数多くあるということです。

特に問題となるのは、親がそれとは気づかずに、マルトリートメントを行っている以下のようなケースです。

  • しつけという名目で怒鳴りつける
  • 何度注意してもわからない子供を、つい叩いてしまった
  • 嫌がっている子供に、無理矢理習い事をさせる
  • 子供への長時間の叱責
  • 夫婦喧嘩
  • ドメスティックバイオレンス

何度同じことを伝えても子供の様子が変わらなければ、つい口調も強くなってしまいがちです。しかし、子供が委縮して、何も言えなくなってしまうような状況であれば、これもマルトリートメントの一種となります。

親であっても、一人の人間です。疲れやストレスが溜まっているときには、子供に対して必要以上に厳しく接してしまうこともあるかもしれません。しかし、そうした行動には、非常に大きなリスクが潜んでいるということを、頭に入れておきましょう。

親としては単純に「教育熱心である」という認識かもしれませんが、行き過ぎた行動はマルトリートメントとなってしまいます。

また、もう一つ注意したいのが、夫婦間の喧嘩や暴力についてです。子供が対象になっていなくても、両親の喧嘩やDVを目撃した場合に、悪影響が出ることがわかっています。こちらもマルトリートメントのひとつであるということを、知っておいてください。

マルトリートメントを受けた子供に対して適切なケアとは

マルトリートメントを受け、傷ついた子供に対しては、できるだけ早い段階で適切なケアを行う必要があります。

親からの虐待が日常化しているのであれば、まずは心と体の安全を守ることが最優先となります。専門機関と連携して、状況の改善に努めることが大切です。

虐待ではないものの、日常生活の中でマルトリートメントをしてしまうことがある場合にも、子供の心は見えないところで傷ついている可能性が高いです。手を繋いだりハグをしたり、「大好きだよ」と言葉を掛けたりと、子供に対する愛情をストレートに伝えることが大切です。子供の前で夫婦喧嘩をしてしまったときには、必ず「仲直り」までを見せて、子供を安心させてあげてください。

もしもすでに脳の萎縮による悪影響が出ているのであれば、専門家によるケアが有効です。子供の心の問題をケアする専門クリニックを受診し、少しずつ改善を目指していきましょう。

まとめ

マルトリートメントは、知らないうちにやってしまいがちな行為でもあります。「もしかして自分も……」なんて、思い当たる節がある方もいるのではないでしょうか。

マルトリートメントによる悪影響を防ぐためには、まずは「どのような行動が不適切なのか」について、両親がしっかりと把握する必要があります。今回紹介した情報も踏まえて、子供との関わり方について見つめ直してみてください。

参考サイト