ユダヤ人には、世界的に活躍する優秀な人が多くいます。ユダヤ人そのものの人口数が多いわけではありませんから、やはりユダヤ人という民族の特徴やその成長環境に、多くの天才を生み出す秘密が隠されているのでしょう。
近年日本でも注目度を増しているのが、ユダヤ式の教育方法です。具体的にどのような特徴があり、どう実践していけばいいのでしょうか。家庭でも実践できるのかどうかなど、今後の子育て・教育に活かすためのポイントを紹介していきます。
ユダヤ式教育のもとで生まれた天才たち
ユダヤ式教育と言われても、あまりピンとこない……という人も、まだまだ多いのではないでしょうか。ユダヤ式の教育を受け、世界的な天才として知られているのは、以下のような人々です。
- アルベルト・アインシュタイン
- ジークムント・フロイト
- カール・マルクス
- アルフレッド・アドラー
- ピーター・ドラッカー
教科書にも登場するような著名人の中にも、ユダヤ人は非常に多いです。また歴代のノーベル賞受賞者にも、ユダヤ人は非常に多いという特徴があります。
ユダヤ式教育の特徴
ユダヤ式教育は、ユダヤ教の教えに基づいて行われています。ユダヤ教では、教育やそれによって身につけられる教養が非常に重要なものであると考えています。子供たちの健やかな成長を祈り、また自分自身の身を守るための方法として、教養を授けるのです。
ユダヤ人たちがたどってきた歴史は、決して順風満帆なものではありませんでした。さまざまな戦いの中、民族としての絆を重視し、生き抜いてきた彼らだからこそ、自分自身の知恵や絆がその身を助けるということを、実体験の中から学んできたのでしょう。こうした知恵を次世代の子供たちへと受け継いでいくことこそが、ユダヤ式教育の最大の特徴だと言えます。
ユダヤ式教育では、民族としての教えを非常に大切にしています。そのため、赤ちゃんのうちからユダヤ教の聖典タルムードの読み聞かせをし、子供が5歳~10歳になれば、自分自身で読むようになります。子供たちは読み聞かせや音読を通じて、ユダヤ教の根底にある道徳観念を学んでいくことになります。
日本人にとっては、タルムードの読み聞かせは非日常的で難しいポイントかもしれませんが、それ以外のコツは、家庭においても充分に実践できることばかりです。ユダヤ人の知恵を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
子供と信頼関係を結ぶこと
ユダヤ式教育で大切にしているものの一つが、周囲の人との絆です。子供たちにとっては、まず両親と固い絆で結ばれることで、絆の重要性や信頼関係の尊さなどを、ごく自然に学んでいくことができます。
ユダヤ人は、自分の子供を絶対的に信じており、お互いに信頼関係を結ぶことを重視しています。子供が新たなことに挑戦するときには、「あなたなら絶対に大丈夫」という気持ちを伝え、力強くサポートします。自信を身につけた子供たちは、どんどん新しい世界に飛び込んでいくことでしょう。
とはいえ、親の願望ばかりを押し付けて「あなたならできる」と伝えても、信頼関係を育むことにはつながりません。まずは子供の様子をじっくりと観察し、興味を持っている分野に飛び込んでいけるよう、サポートすることが大切です。
成長過程の子供たちは、何らかの間違いを犯すこともあるでしょう。このような場面では、子供の行動の何がいけなかったのか、辛抱強く話し、理解してもらうことが大切です。もちろん子供の話に、耳を傾けることも忘れないでください。信頼関係が結べていれば、子供との話し合いも容易になります。間違いから、さらに成長を促すこともできるでしょう。
子供に対して真摯に向き合うこと
ユダヤ式教育では、子供に対して真摯な姿勢で向き合うことを大切にしています。特に子供が「なぜ?」「どうして?」という疑問を持ったときには、それに徹底的に付き合うことをモットーにしています。
子供たちが抱く疑問には、際限がありません。特に幼児期には、子供たちの“なぜなぜ攻撃”が大人たちを悩ませることもあるかもしれません。しかし、こうした「なぜ?」「どうして?」という素朴な疑問こそが、子供たちの知的好奇心を満たし、さらに広げる可能性を持っていることを、ユダヤ人たちは知っているのです。
子供たちが「なぜ?」「どうして?」という疑問を抱けるよう、日々の働きかけを行うのがユダヤ式教育の特徴であり、またそうした問いに対して、仮説をたてて論理的に分析できるよう促していきます。相手が幼い子供であっても、すぐに答えを与えることはありません。
仮説を立ててもわからないことがある場合には、周囲の人に質問できる環境を整えましょう。何がどうわからないのか、またそれに対して自分がどのような考えを持っているのか、しっかりと説明できるようにサポートしていきます。
もちろんすぐに全てができるようになるわけではありません。しかし日常の中に潜むさまざまな疑問に対して、一つ一つ真摯な姿勢で取り組んでいくことで、ユダヤ人の子供は、自分自身の力で疑問点を見つけ、それに対する仮説を立て、答えにたどり着くという訓練を積んでいくのです。
時には議論することも大切
日本人はあまり議論するのが好きではない民族と言われていますが、ユダヤ人は違います。考え方や意見に納得できない点があれば、とことん議論して、お互いにとって最適な答えを導き出そうとします。
議論をするということは、自分自身の意見を伝えるだけでは駄目で、また相手の意見を聞き入れるだけでも駄目。お互いにより良い答えを求めて意見を交わすことで、コミュニケーション能力の成長にもつなげていけることでしょう。
日本の一般的な家庭において、ユダヤ式教育の全てを実践するのは難しいかもしれません。しかし、子供との向き合い方やサポート方法については、取り入れられる点も多いのではないでしょうか。ユダヤ式教育の良いところを取り入れて、子供の知的好奇心や思考力を育んでいきましょう。