イメージトレーニングと聞くと、「アスリートが成果を出すために行うもの」と想像する方も多いのかもしれません。しかし実際には、このイメージトレーニング、一般の人の日常生活にも応用できるもので、脳力アップにつながるということをご存知ですか?
イメージトレーニングの詳細と、その効果、コツやトレーニング法について紹介していきます。
イメージトレーニングとは?
イメージトレーニングとは、実際に体を動かすことはなく、頭の中で「何らかの行動を起こしている自分」を思い描く動作となります。自分の体や脳をどのように動かし、そしてその結果がどうつながっていくのか。非常に細かなポイントまで、しっかりとイメージしていきます。
たとえばボーリングなどで、他者がボールを投げている姿を見たときに、「自分だったらどのように投球するのか」を思い描くことが、イメージトレーニングとなります。頭の中で体の動きを反芻することで、イメージした技術を自分のものとして習得しやすくなるでしょう。
スポーツの世界では一般的なイメージトレーニングは、本番前の集中力アップのためにも使われています。しかし、イメージトレーニングは、「スポーツ」や「試合」といった限られた場所でのみ、その効果を発揮するわけではありません。
日常生活の中の仕事やプレゼンなど、積極的にイメージトレーニングを取り入れることで、効率や成果をアップできる動作はいくつもあります。このような場合でも、運動でイメージトレーニングを行うときのように、実際の仕事・プレゼンの流れを、より具体的にイメージすることが重要なポイントとなります。
特に発表やプレゼンは「一発勝負」と思われるケースも多いですが、イメージトレーニングを上手に活用すれば、何度も練習を積み重ねることができるのです。
イメージトレーニングの効果
イメージトレーニングは、自身の脳をフル活用したトレーニング方法です。実際に自分の体を動かすわけではありませんから、「本当に効果があるのだろうか」と不安を感じるのも当然のことかもしれません。
イメージトレーニングの効果は、「脳は現実と想像を区別できない」というポイントから生まれるものです。実際に運動を行っているときには、もちろん脳は活発に動いています。複雑な指令を出しながら、結果を出そうとするでしょう。一方で、頭の中で「運動する自分」をイメージしたときにも、脳は実際に動いているときと同様の働きをしているのです。
つまり実際に体を動かしていなくても、イメージトレーニングで脳は働き、その練習を積み重ねていくことができるというわけです。イメージの中で成功体験を積み重ねることで、自信を抱く方は少なくありません。実際に体を動かしたときにも、良い結果に結び付きやすくなるでしょう。
実生活の中でイメージトレーニングを取り入れたときにも、こうした効果は実感できます。仕事やプレゼンなど、事前にイメージトレーニングをしておくことで、起こり得る場面やその対処方法などを、十分に用意しておけます。イメージの中の自分が堂々と発表できるよう、あらかじめ準備を整えておくことで、現実世界における自身の立ち居振る舞いも、変化させていけるでしょう。
より大きな効果を得るためには、コツは?
イメージトレーニングの効果を最大限にするためには、以下の4つのコツを参考にしてみてください。どれだけリアルなイメージを抱けるかが、イメージトレーニング成功への分かれ道だと言えます。
1.五感を意識してイメージする
スポーツの世界はもちろんのこと、日常生活においても「はっきりとしたイメージを抱く」ということは何よりも重要なポイントとなります。そのためには、ぜひ五感を意識してみてください。その場に立ったときの見え方や匂い、音や空気感など、過去の体験から似通ったものを探してみると良いでしょう。五感をフル活用することで、脳が錯覚を起こしやすくなります。
2.自分を客観視することを忘れない
イメージトレーニングの良いところは、動作を行う自分の姿を客観視することができるという点です。実際に動いたときにはわからないことでも、イメージの中でならつかめる可能性も高いでしょう。自分自身の感情だけに囚われるのではなく、全体を俯瞰して見ることも意識しましょう。
3.大事なところは反復してイメージしよう
イメージトレーニングの良いところは、いつでも「気になる場面のみ」を繰り返すことができるという点です。失敗しそうなところ、苦手意識を持っているところがあれば、ぜひ積極的にトレーニングしてみてください。動きをスローモーションにして、一つ一つの手順を確認するのもオススメです。
4.毎日続けること
イメージトレーニングは、継続することで徐々に精度が高まっていきます。1日当たりのトレーニング時間は5分でも大丈夫です。その分長く続けていきましょう。
日常生活でもできる手軽なトレーニングは?
イメージトレーニングは、5分ほどの落ち着ける時間と空間があれば、いつでも自由に実践できます。特別な道具も必要ありませんが、慣れるまでは「リラックスして座れる椅子」と「紙とペン」を用意しておくと良いでしょう。
イメージトレーニングは、頭の中により詳細なイメージを描き、そしてそれを自分自身が信じることが重要です。まずはトレーニングしたい項目について、どのような手順で進んでいくのか紙に書きだしておきましょう。
その後、椅子にゆったりと腰かけ、心を落ち着けながら一つ一つ丁寧にイメージしていきます。最初は、具体的なイメージを作り出すまでに時間がかかるかもしれませんが、慣れてくると、自分自身の世界に素早く入り込めるはずです。
イメージトレーニングでは、「成功した自分」「理想とする自分」を思い描くことが重要なポイントです。どのような自分であれば、良いイメージを脳内に描けるのかについても、事前によく確認してみてください。プラスのイメージを常に抱けるよう、できたこと、自分の良いところを認める意識も重要なポイントとなります。
イメージトレーニングは、どのような目的に対しても活用することが可能です。大人になるとイメージ力は低下するとも言われますが、毎日欠かさず行うことで、徐々にイメージ力を高めていけます。
イメージトレーニングは、自分自身を成功へと導くための鍵となります。実際に体を動かさずにトレーニングを行えますから、活用範囲も広いと言えるでしょう。イメージの力を鍛えて、自分自身を理想の自分へと近付けていきましょう。
参考サイト
- 成功したいならイメージ力を磨け!ほんとうに効果のあるイメージトレーニング4つのポイント―Study Hacker|これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディア
- 「イメトレって意味あるの?」と思ってる人に知ってほしい、意外とすんごい効果―ログミー 世界をログする書き起こしメディア
参考文献
- タカイチアラタ(2003)『願望が面白いほど実現する 10日間イメージトレーニング』同文舘出版株式会社
- 七田眞(1995)『右脳をひらくイメージトレーニング もっともっと伸びる子どもの能力』PHP研究所