周囲の人とより深いコミュニケーションを楽しむために必要なのが、観察力や洞察力です。周囲のさまざまな物事に対して「気づく力」と言ってもいいでしょう。人間関係や仕事で成功を収めるためには、必要不可欠なスキルと言えます。
観察力や洞察力とは、具体的にどのようなスキルで、社会で成功を収めるためにはなぜこれらの力が必要なのでしょうか。気づく力を身につけるメリットと共に、日常生活の中で手軽に実践できるトレーニング法を紹介します。
観察力・洞察力とは?
観察力とは、目の前の物事に対して客観的に注意深く見る力のことを指しています。同じ物事が目の前で起きたとしても、そこからどんな情報を読み取るのかは、個人によって違いがあります。また得られる情報の量にも非常に大きな差が出るでしょう。
例えば同じプレゼンテーションを聞いた際に、自分では気づかなかった点について意見を述べたり質問をしたりする同僚に対して、「すごいなぁ」と感じた経験はありませんか?これこそが観察力の違いによる差だと言えます。当然、周囲の人が気づけないようなポイントにまで目を向けて、相手の意図をしっかりと汲み取れる人はグループ内での評価も高まるはずです。
一方洞察力とは、ある物事が目の前で起きたときに、現在見えていない部分について推察する力のことを指します。名探偵が現場に残された手がかりをもとに仮説を立て、犯人を追い詰めることができるのは、この洞察力に優れているからこそ。もちろんこの洞察力も、社会で生き抜くために必須の力となっています。
洞察力が高い人は、仕事の結果から将来の流れを予測したり、ヒントを元に自分なりの仮説を立てたりすることが非常に得意です。優秀な部下の将来を見越し、育てていくリーダーにとっても非常に重要なスキルと言えます。
この観察力と洞察力は、セットで身につけることでより効果を発揮できます。気づく力として、総合的に伸ばしていくのがおススメです。
気づく力を高めることで得られるメリット
観察力や洞察力など、気づく力を高めることで得られるメリットは多々あります。先ほどは社内で優秀な人材として評価されやすいという点を挙げましたが、より根本的な、人間同士の絆を深めるためにも活用できます。
全く新しい人間関係を一から築く場合、その土台となるのはお互いのコミュニケーションです。会話をしたり、相手の雰囲気を察知して適度な距離感を保ったりすることで、ごく自然に居心地の良い関係性を作ることができるでしょう。
観察力が高い人は、相手の様子や相手の話のちょっとした違和感をキャッチしやすいと言えます。それをもとに、さらに会話の幅を広げていきます。相手にとっては、「自分のことをわかってくれる人だ」という感覚を抱きやすくなり、心の距離も近付くことでしょう。
観察力に加えて洞察力が高い人は、キャッチした情報をもとに見えない部分についても考え、さらに一歩踏み込んだ行動もできるようになります。世の中には相手に対する気遣いが非常に上手な人もいますが、観察力や洞察力に優れているからこその結果なのでしょう。
人間関係は、すべての社会生活の基本となります。仕事で評価されるためには、上司や部下との人間関係が非常に重要です。ご近所の方々とも円滑な関係性が築けていれば、日々の暮らしもより快適に楽しめることでしょう。子供たちにとっても、気づく力は非常に重要なもの。一つの物事から多くの情報を発見し、それを元に自分自身の考えを積み重ねていければ、学力アップの基礎となります。
このように、誰にとっても気づく力は重要なもの。観察力や洞察力を高めておいて、損になることはありません。
気づく力を高めるためのトレーニング法
ここからは、より具体的に観察力や洞察力を高めるためのトレーニング法を紹介していきます。日常生活の中で手軽に実践できるものばかりなので、ぜひ意識してみてください。
★日常の中の変化に注目してみる
日々の生活の中には、たくさんの変化が詰まっています。家や会社で、物の置き場所が変わっていたり、同僚の髪型が変わっていたり……。まずはこうした小さな変化に気づくところからスタートしましょう。これまで見逃していたような変化をできるだけ多く見つけられるよう意識することで、世界が変わって見えるはずです。
変化のポイントが見つかりにくい場合には、ぜひ身近な人の表情や機嫌に注目してみてください。心の動きをより具体的にキャッチしようと試みることで、気づく力の強化につなげていけます。
★違和感の原因を探ってみる
何気なく日常生活を送っている中で、ふと違和感を抱くことはありませんか?忙しいときにはつい見逃してしまいがちなポイントですが、違和感の原因を探ってみることも気づく力を高めるためのポイントとなります。
違和感の原因を見つけられたときには、脳が活性化するアハ体験もできることでしょう。気づく力だけではなく、同時にひらめき力も強化できます。
★「普通」という概念を取り払ってみる
世の中には、「普通」という概念であふれています。自身の持ち物や生活習慣、身近な人との関わり方に至るまで、「これが普通だから」という概念のもと、当たり前のように受け入れていることは非常に多くあるはずです。
いったんこのフィルターを取り外し、「なぜそうなのか」について改めて考えてみることも、観察力や洞察力を育てるポイントとなります。通勤時間中には、ボーっと考えごとをしてみるのも良いかもしれません。
★自分自身の心と向き合う
観察力や洞察力の元となるのは、自分自身の心、そして考え方です。忙しい毎日の中で、つい後回しにしてしまうことはありませんか?時にはじっくりと向き合うことで、これまでに気づかなかったポイントに気づけたり、より深いところまで考えが及ぶきっかけになったりします。
自分自身の心と向き合う方法としておススメなのが、座禅や瞑想です。自分の考えに没入することで、新たな気づきを得るきっかけになるでしょう。
気づく力が高い人は、仕事力や学力だけでは測ることができない、幸せな人生を生きる力を備えていると言ってもいいでしょう。自分自身で育てるのは難しいと思われがちですが、実際にはそんなことはありません。日常生活の中でできるトレーニング法を実践しながら、気づくことを意識してみてください。