子どもの頃から「脳力」アップ! 東大生を育てた親がしていた習慣・教育

東京大学といえば、日本を代表する総合大学の一つです。非常に賢い学生が集まるイメージも強く、「できればうちの子も……」なんて考える親御さんも多いのかもしれませんね。

東大合格に向けて子どもの学力を高めるためには、本人の資質と共に親の関わり方が非常に重要な項目となります。東大生が子どもの頃にどんな生活をしていたのか、また親がどのような教育を行っていたのかなど、気になる点を紹介します。「子どもは東大へ」と考えるなら、ぜひ参考にしてみてください。

どんな幼少期を過ごしていたのか?

身近な人が「東大に合格した」と聞けば、その人が幼い頃にどんな子どもだったのか、気になる方も多いことでしょう。「東大に入るような人は、やはり幼少期から特別だったのでは?」なんて、つい考えてしまいがちです。

幼少期から勉強に対して高い能力を発揮していた子どもが、そのまま大きくなり、東大に合格するというルートは、非常にわかりやすいように思えます。しかし実際には、東大に合格した人の幼少期は、「ごく普通の子どもだった」と語るケースも少なくないのです。

そのほかの子どもと同じように「遊び」の中で好奇心を育み、ときには「苦手なこと」があるのも当然のこと。実際に「早起きが苦手だった」「好き嫌いが多かった」なんて語る方もいます。小学生のときには、「学校以外の平均勉強時間は1時間以下」で、「毎日テレビを見て楽しんでいた」という方も少なくないのです。

将来東大に入る子どもだからといって、幼少期から特別な努力をしているわけではないということがわかります。少し意外に思えるかもしれませんが、子どもが子どもらしく毎日を過ごすことは、子どもらしい感性や好奇心を育むために重要なこと。日常の中で、将来につながる「土台」をしっかりと作っていたとも言えます。

どんな生活習慣だったか?

ごく普通の幼少期を過ごしているケースも多い、東大生たち。しかしごく普通の生活をしているすべての子どもが、東大に合格できるような高い学力を身につけられるわけではありません。必ずどこかに、ターニングポイントがあるはずです。その一つとなるのが、子どもの頃から自然に行っている「生活習慣」なのでしょう。

東大に合格した方の話を聞いてみると、「テレビは見ていたけれど、見たい番組以外のときは、テレビは消されていた」と語る方も少なくありません。その分、新聞や本、または親子の会話など、テレビ以外の情報源に触れる時間が増えることになります。

また、特別な勉強をする必要はなくても、「毎日出される宿題だけは、絶対にやる」という生活習慣を身につけることも重要なこと。「自分の責任において、必ずやらなければならないもの」という意識が子ども自身の中に根付くことで、もう少し大きくなったときの、自発的な勉強習慣にもつながっていきます。

学習に関する生活習慣としては、「自分の個室」ではなく「リビング学習」をしていた人も多く、わからないことがあれば、すぐに両親に聞き、一緒に学習効果を高めていけます。同じ疑問を共有することで、より幅広い知識の獲得へとつながっていきます。

一つ一つは小さなポイントですが、これらの積み重ねにより「賢さ」は養われていくのでしょう。

どんな教育をしていたのか?

次は主に、子どもに対する親の働きかけについてです。東大に合格する子どもを育てた親は、いったいどのような教育に取り組んでいるのでしょうか。

多くの親が幼児期から取り組んでいたことの一つに「絵本の読み聞かせ」があります。このときのコツは、両親自身もその読み聞かせを楽しむこと。そして子どもが「読みたい」という本を自由に選ばせ、納得いくまで読んであげるということです。幼い頃に「読書が楽しい」という経験を積み重ねた子どもは、ごく自然に「読書好き」へと成長していきます。もう少し大きくなれば、自然と「新聞」などのメディアにも触れるようになり、より一層世間への関心を高め、好奇心を広げていくでしょう。

またもう一つ特徴的な教育法として挙げられるのが、親の方から「勉強しなさい」という声かけをしないというものです。東大に合格しようと思ったら、中高生になったときに、やはりそれなりに勉強をしなければいけないでしょう。東大に合格する子どもにとって、勉強は「楽しいこと」という認識があります。「勉強=新たな知識を得るためのきっかけ」ととらえ、前向きに取り組むことができるのです。親の方から「勉強しなさい」と無理強いしなくても、子ども自身が自発的に勉強したくなる環境が、幼い頃から整っている、というわけですね。

東大生、東大出身に多い習い事は?

子ども時代の習い事は、人生における「基礎」を作り、また自信を高めるために有効なものです。幼い頃にどんな習い事をどのように行っていたのかによって、その後の人生にも影響が出てきます。

東大に合格した人が自身の子ども時代にやっていた習い事として、非常に多いのが「スイミング」と「ピアノ」です。どちらも子どもに人気の習い事ですが、東大生にとっても例外ではありません。「英語」や「学習塾」などのお勉強系の習い事よりも、こうした「体を動かす系」の習い事が人気である点に対して、不思議に思う方も多いのかもしれません。

しかし、スイミングは、水泳という全身運動の中で全身をバランスよく鍛えていくことができます。また多くのスイミングスクールでは、「少しずつテストに合格しながら進級していく」という仕組みを採用しています。この中で子どもたちは、「自分の努力が結果に結び付く」という成功体験を積み重ねていくことになります。

また、ピアノにおいては、右手と左手の両方を使いながら、目で楽譜を追い、耳で音楽を聴くという、非常に高度なトレーニングを行うことになります。ピアノの練習と脳の発達には深い関わりがあり、こちらも「子どもの脳力を育てるための習い事」として人気を集めています。

ただし、重要なのは、どちらも「子ども自身が楽しんで行う」という点です。無理矢理やらせても効果は半減してしまいますから、注意しましょう。

どんな遊びをしていたか?

子どもの脳を成長させるために欠かせないのが「遊び」です。子どもは遊びの中で脳を鍛え、大きく成長していきます。

東大に合格した方が幼い頃に好きだった遊びとして多く挙げられるのは、レゴや積み木などの立体ブロック遊びです。ブロックを積み重ね、さまざまな物を作る間に、ごく自然に立体構成力や想像力、立体的な空間をとらえる能力を伸ばしていくことができます。

また、これ以外にも、囲碁や将棋、オセロなど、対戦相手と共に楽しむボードゲームが好きだった、と語る方も少なくありません。これらのゲームはすぐに勝敗が決まるわけではなく、集中力を高めることにつながります。また対戦相手との勝負を楽しむ中で、挑戦心を育んでいくこともできるでしょう。

大切なのは、子どもがこれらの「遊び」に没頭できる時間と環境を用意してあげるということです。親が一緒に、真剣に遊んでくれることを、多くの子どもは喜びます。まず親が手本を見せることで、興味・関心を抱く子どもも多いことでしょう。子どもの様子を見守り、興味を持ちそうなタイミングで「親の方から誘ってみる」というのもオススメの方法です。

使用していた教材など

子ども時代に脳の発達を促すためには、やはり親の関わりは重要なポイントとなります。自宅に教材があれば、子どもの脳力を伸ばすための働きかけを、日常生活の中で行えるようになります。

とはいえ幼児期には、必ずしも高価で特別な教材を用意する必要はありません。日常生活の中に、子どもの力を伸ばしてくれる教材は数多く転がっているからです。折り紙や落書き帳も、親が使い方を知っているだけで、教材へと大変身します。親が書いた線の後ろを子どもについてきてもらえば、運筆のトレーニングになりますし、折り紙遊びは指先のトレーニングや豊かな想像力を育むきっかけになります。

もう少し成長してきたら、「言葉カード」や「地球儀」、「日本地図」などを与えてみるのも良いでしょう。このときにも、「ただ単に子どもに渡す」だけではなく、子どもが知っている言葉を使ったり、そこからイメージを広げたりと、「楽しい」体験を積み重ねていくことが大切です。地球儀や日本地図についても同様で、話の中で出てきたエリアについて、親子で一緒に探しながら、いろいろな話をして好奇心を広げていくことが、幼児期には重要な働きかけと言えるでしょう。

「教材」と聞くと、教科書やドリルのようなものを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、子どもが嫌々やるようでは、「勉強は楽しいもの」という認識を育てることはできません。特に幼少期には、「楽しみながら学ぶ」ということを意識して教材選びをするのがオススメです。


将来子どもに「勉強で苦労させたくない!」と思うのであれば、幼少期から、子どもの脳力をアップさせる関わり方を実践しましょう。とはいえ、実際に「東大生を育てた親」がしていたことをチェックしてみると、「何か特別なことをする」というよりもむしろ「毎日の生活の中で、子どもとの関わりを丁寧に楽しむ」ということが大切だと言えそうです。遊びや習い事、生活習慣などについても、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

参考サイト

参考文献

  • 小川大介(2017)『1日3分!頭がよくなる子どもとの遊びかた』大和書房