幼児期の読み聞かせは、子供の成長や発達に非常に良い影響を与えると言われています。とはいえ、毎日何かと忙しく過ごしている中で「ついつい読み聞かせを後回しにしてしまう……」なんてご家庭は多いのではないでしょうか。
こんなときには、ぜひ改めて幼児期の読み聞かせのメリットについて学んでみましょう。そこで重要となる4つのポイントを紹介します。
言語面での発達が促される
幼児期の言葉の発達には、個人差があります。非常に早い段階から、まるで大人のように流暢に言葉をあやつる子供もいれば、そうではない子供もいます。園や学校でうまくやっていくために、言葉は非常に重要なもの。我が子が後者に当てはまる場合、漠然とした不安を抱えてしまう方も多いことでしょう。
こんなときには、ぜひ積極的に絵本の読み聞かせを取り入れてみてください。絵本の世界には、さまざまな言葉が散りばめられています。普段の会話ではなかなか使わないような言葉も、自然と口にすることができるでしょう。
幼児期の子供たちは、身近な人の口から発せられる言葉だからこそ、強い興味を持って一つ一つ学んでいくのです。いろいろな言葉を知り、語彙力が高まるにつれて、前後の文脈を想像しながら補完し、自分なりのストーリーを作ることも得意になっていくでしょう。
情緒面やコミュニケーション能力を伸ばせる
幼児期の読み聞かせは、子供と身近な大人たちとのコミュニケーション手段でもあります。0~1歳の頃には、わけもわからず読み聞かせをされてきた子供たちも、幼児期になればその内容を理解した上で、お話の世界を楽しみ始めます。
その過程において、「なぜこうなるの?」「○○のところがドキドキしたよ」なんて、自然な感想が生まれるケースも少なくありません。親子で話せば、コミュニケーションのきっかけになります。
また、相手が話す、自分が聞くという何気ない行動も、コミュニケーション能力がなければ成り立たないもの。読み聞かせ中は、脳の前頭前野や大脳辺縁系が活発に働き、それを繰り返すことで豊かな情緒を育んだり、コミュニケーション能力を伸ばしたりすることにつながると考えられています。
豊かな感情やコミュニケーション能力といった目に見えにくい能力は、どうやって伸ばせばいいのかわからない……と感じる方も多いのではないでしょうか。実は毎日の読み聞かせに、そのヒントが隠されています。
自己肯定感が高まる
自分に自信を持ち、困難に打ち勝つ強さを身につけるためのカギとなるのが自己肯定感です。幸せに生きていくために必要な感覚なのですが、諸外国と比較して、日本人には自己肯定感が低い人が多いと言われています。
自己肯定感を抱くために重要なのが、成功体験や達成感です。子供の頃からいくつもの「できた!」や「大丈夫だった!」を積み重ねることで、子供たちは自身の心を育んでいきます。
実際にさまざまな経験を積むのもいいですが、より日常的に成功体験や達成感を積み重ねる方法としておススメなのが、絵本の読み聞かせです。絵本の中では、さまざまな出来事が常に起きています。ヒーローとして悪者退治に成功したり、勇気を振り絞って新たなチャレンジをしたり……。これらはすべて絵本の中の出来事ではありますが、子供たちは主人公になったつもりでその世界を楽しんでいます。
つまり絵本の世界の出来事が、そのまま子供たちの経験につながっていくということ。主人公と一緒に成長していくと捉えて良いでしょう。絵本を通じて子供たちは、いくつもの人生や生き方に触れていきます。何か困難にぶち当たってしまったときでも、これまでに絵本から学んできたたくさんのルートを思い描き、その中から最善なものを選択できるようになります。
また、幼児期からたくさんの本に触れることで、「今自分がいる世界が全てではない」という当たり前の事実をごく自然に認識することにもつながります。これから先の学校や社会で何か辛いことがあったときでも、別の世界へと目を向けることができるのではないでしょうか。
将来の学力アップにつながりやすい
幼児期に積極的に読み聞かせを行うメリットとして、最もわかりやすいのが学力上昇です。幼児期にたくさん読み聞かせをしてもらった子供たちは、そのまま読書が好きな子供へと成長しやすいことがわかっています。そして普段から読書をする子供たちは、読書をしない子供たちと比較して学力が高い傾向にあるということも明らかとなっています。
これからの時代、子供たちに求められる学力とは、記憶力や計算力だけで構成されるものではありません。自分自身の頭で考え、それらを組み立て、他者にもわかるようにそれを表現することが求められます。
絵本の読み聞かせは、子供たちの脳内のイメージ力や創造力を鍛えてくれることでしょう。また同じ話を何度も繰り返して聞くことで、子供たちはお話に対する理解を深めていきます。自分自身のイメージを膨らませ、時に論理的に物事を考えながら、思考力を高めていけます。
今の子供を喜ばせるだけではなく、先々の子供をサポートしてくれるのが、幼児期に読み聞かせを行うメリットとなります。大好きなお父さん・お母さんに読んでもらった本は、大人になってからでも記憶の中に残りやすいもの。子供たちの脳や心の発達を促すためにも、ぜひ読み聞かせに取り組んでみてください。
読み聞かせをする際に、特別なコツやテクニックは必要ありません。自分が好きな本でも構いませんし、子供のリクエストに応えるのも良いでしょう。毎日5分から、読み聞かせ習慣をスタートしてみませんか?